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〈短編〉H×H

第13章 腐った願望/イルミ/クロロ/下ギャグ/BL表記あり/お下品


誰にでも願望の一つや二つ あるものである。
それが大きいか小さいかは人それぞれ。
叶うかどうかも内容次第。

平和な午後の昼下がり、ロイヤルミルクティーのいい香りが立ち込めるどこかロココ調の喫茶店の奥の席。

リネルの目の前には2人の人物が微妙な距離感で腰掛けている。

左側には長い黒髪の男。
9.9割鬼畜の典型的なツンデレであり、受けも攻めも器用にこなすマルチプレイヤーだと頭の中で位置づけしている。

右側には黒髪を後ろに流し真っ黒いコートを羽織った男。
その強くも柔らかくもある独特の雰囲気こそ 誘い受けの頂点に君臨する真の王者だと決め込んでいる。

2人の雰囲気を模倣すべく フリルとリボンのたっぷりついたゴシック調の黒いワンピースに身を包んだリネルは、目の前の彼らの左右配置だけで打ち震える思いで身悶えし肩を震わせる。
そして土下座同然に頭を下げていた。

『イルクロのナマ実演をお願いします!!!』

「さっきから意味がわかんない。何それ」

『イルミがクロロを攻めて苛めて、クロロがそれに抵抗しながらも満更でもない様子でイルミを誘う姿を切実に観察したいんです!!!』

「頭おかしいんじゃないの」

冷たいイルミの物言いがまた脳内妄想を駆り立てる、身体中の血液が倍速で血管を流れるような高揚感。

先程から黙ってティーカップを傾けていたクロロがリネルにとてつもなく冷ややかな瞳を向けた。
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