第12章 ロックバンド「幻影旅団」/ギャグ
次に爽やかなお兄さんがステージ真ん中に立つ。アナウンサー並みの滑舌で今日のライブの御礼を述べた後、勝ち気に笑い会場を煽りだした。
「旅団のブレインと言えばー?」
「「シャル~!!!」」
「旅団の影の司令塔と言えばー?」
「「シャル~!!!」」
「でも腕相撲はー?」
「「弱かわ~!!!」」
「恋と操作のアンテナはー?」
「「早い者勝ち~!!!」」
「ありがと。……でも油断は禁物だよ?」
「「ぎゃああああああああああ!!!シャルウウウああああ」」
黄色い声が鼓膜が破れそうになる、と同時に隣の友人が泡をふいた。
いつの間にか美女達が顔を連ねている。クールビューティー、萌え、セクシー、ここはイメクラか!!?
「縫われたいなら腕出しな。糸は何処までも追跡する」
「「マチたあああああん!!!」」
「吸われたいなら死んできて。いくよデメちゃん お掃除完了」
「「シズクちゅわああああん!!!」」
「撃たれたいなら触れさせて。いったい何を隠しているの?」
「「うおおおおおおお、姐さあああん!!!」」
「掟は?」
「「絶対!!!」」
「向かうは?」
「「東!!!」」
「……団長 私達にはまだ貴方が必要です……」
「「うおわあああおおおおおおおおおおおお!!!」」
四方八方から野太い声と唾が飛ぶ。
「少し黙れ」
ピタリ
急に場の空気が一変し、耳が痛い程シンと静まり返る。オールバックの男に静かにライトが当たっていた。
「捧げよう。
聞こえますか。
オレ達から 貴方への
鎮魂歌(レクイエム)」
は?
男が突如コンダクターと化す。その手にはないはずのタクトが見える、美しい指揮者に合わせ 哀しく優しいメロディがはじまる。
バタバタバタ
会場全員がその場に倒れた。全員の意識がシンクロし(強制的な)トランス状態なのだろうか…まさに鎮魂歌に相応しい。
空気を読んで倒れたふりをするしかないではないか。
このバンド、冗談抜きにヤバそうである。
「ふ、夜は長い。こんなものは取るに足らぬ昼下がりの珈琲ブレイクとかわらない……さぁ野郎ども 大暴れのスタートだ!」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
なんなんだ(涙)!!
激ヤバすぎる。
fin