第12章 ロックバンド「幻影旅団」/ギャグ
「マジで激ヤバなバンドなんだよねっ!」
大興奮の友人に引きずられて無理矢理連れて来られたのは小さなライブハウス。そもそも私はこういう所に来るのすら初めてで不安が拭えない。
時はあっという間に過ぎて、いよいよ開催時間になる。
真っ暗なステージにぞろぞろとバンドメンバーが集まってくる。パッとスポットライトが当たり一気にステージが明るくなった。
ヤバい。これは確かに激ヤバであるかもしれない……
まず第一に人数が多すぎる。ステージのサイズを考慮してもバンドを謳うならば10名越えはどうかと思う。ただのダンス要員ならE◯ILEかジャ◯ーズでもいけと言ってやりたくなる。
第二にビジュアルバランスが悪過ぎる。イケメン、美少女…までは許容範囲であるが 毛玉生物、ゴリラ、ガ◯ダム?、ハロウィン仮装のミイラ男…謎すぎる!!方向性を明確にしてほしい。
オールバックにコートを纏ったリーダー格の男がスタンドマイクにそっと手をかけた。低く通るいい声を会場内に響かせる。
「怖いのか?」
会場は静まり返ったまま。どうしたものか、初心者には空気感がまるでわからない。
「もう一度聞く。怖いのか?」
そりゃ怖いだろう。一体この空白の無言はなんだというのか。男は口元に妖艶な笑みを見せる。
「全てだ」
は? 今度は何の話だと言うんだ。
「この会場のもの…オレ達が全て掻っ攫う」
いやいやいや。発言からしてヤバい気がする。
「オレが許す 派手にやれ」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」
会場が揺れる。次元をなくし前後左右に。
これはとんでもない所に来てしまったのかもしれない。
初っ端から。ハイテンポなラップ調に乗る掛け合いが理解不能でヤバすぎる。
「まずは軽く爪剥ぐね」
「「剥いでー!!!」」
「ワタシに身体に聞かれたいか」
「「聞いてー!!!」」
「痛みを」
「「返すぜ!!!」」
「灼熱に」
「「変えて!!!」」
「許されざる者(ペインパッカー)太陽に灼かれて(ライジングサン )」
「「灼いてええええええええええええええええあああああああああ!!!!!!!!」」
なんかの宗教なんですか?!?!
小さいお兄さんの炎パフォーマンスが始まる、小さいお兄さんがいきなり脱ぐ。……クソっ、いい身体ッ