第9章 Mrココローチ/イルミ/ギャグ
「ヒっ…ヒィいいいいいいいいっ!!!」
「とりあえず捕まえたけど」
「いやぁ!いやぁぁぁ見せないで!近付けないで!!」
「殺せばいいの?逃がせばいいの?」
「やめてっほんとやめて!こっち来ないで!!!来んなっつってんだろおおがああああー!」
「動揺とはいえ口調変わりすぎじゃない?」
さすがにそれは男らし過ぎるだろとツッコミたい。というかあり得ない。
奴を素手で掴む人間がこの世にいたとは。
「殺してっ!早く!あっちでやって!私に見せないで!!」
「ふーん ゴキブリって生命力強いってホントだね。見てよ 針貫通してもまだ元気に動いてる」
「解説いらない!!つーか何やってんの?!?!早くっ!退治して今すぐに!」
「足むしっても全然大丈夫そうだし 足は足で動いてる。頭潰したくらいじゃ死なないってホントかもね」
「いやぁああ!やめて!ホントやめて!!!悪魔か?!アンタ悪魔か?!鬼なのか?!?!」
「失礼な。善良な暗殺者だよ」
「誰がみても悪質だよゾルディック!!!」
「で。どうすればいい?」
「殺して早く!!!」
「わかった」
ブちゅ っ
「ひっ……!!!」
嘘だと思いたい。嘘だと信じたい。奴を素手で握り潰す人間がこの世にいたとは。
「ゴキブリって雑食って聞くし潰すと臭いね」
「し…信じらんない……」
「見る?折角だし」
「見るわけないでしょ!ない!あり得ない!早く洗ってきてよ!」
「わかってるよ」
こうして平和は守られた。果敢にも向こう見ずな勇者によって。
「……あ、ゴメンねイルミ 今うちにタオルないんだよね」
イルミは妙な所で凄まじい男らしさを発揮する、今は全力でその栄誉を讃えるべきではあるのだが。
わかってはいても そう言わずにはいられなかった。
fin