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〈短編〉H×H

第9章 Mrココローチ/イルミ/ギャグ


「ぎゃあああっ イルミィっ 助けて!!!」

「どうしたの?」

「そこに、…こっ、ココローチが……ッ」

「こころうち?」

事もあろうに10cmを裕に超える大物である。その生命力は地球上最強とも言われ、太古恐竜の時代から現代までを我が物顔で生き抜いた程。
絶滅の危機に瀕すれば性別すらも厭わない、雄が雌になり得るという。耐性や学習能力が高く、害虫駆除薬が効かない日が来るのではないかと危惧されるレベルだ。

「ああ ゴキブリか」

「ダイレクトに名前言わないで!名前聞くのも嫌なほど大っ嫌い!オブラートに包んでよ!」

「あ、こっち来たよ」

「ぎゃああああああああああああ」

ハイスペックを誇るココローチは 怯え叫ぶ愚かな人間を嘲笑うかのように、黒光りする図体をカサカサさせながら真っ直ぐこちらに向かってくる。
その動きの俊敏さと気色悪さと来たら 目を見張る程の恐ろしさである。

見たくないのに目が離せない、視線を吸い寄せられてしまう。理由は単純明解、このままココローチが所在不明に陥る事程怖い事態はないのだから。
イルミの背中に隠れ 奴を追跡する。

「ひええっ来る!来る来る来る来る来る!!!」

「どうすればいいの?」

「どうって…たっ、退治して!!」

目の前にはカサカサ唄うココローチ。
それでも恐怖を顧みず果敢に奴に向かうイルミの姿がとても凛々しく見えてくる。今この場に居合わせた男らしい戦友の存在に感謝をせずにはいられない。………はずだったが。

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