第50章 添い寝のお願い/月餅トリオ
どうしようどうしようどうしよう!シズクに付き合ってオカルト系DVD見たら怖くて眠れなくなっちゃった…
仕方ない。ここは誰かに添い寝してもらうしかない…
「フェイ~」
「なんね ガキは寝る時間ね」
「…一緒に寝て?」
「意味わからないよ 他人と寝る趣味ないね」
「その、変なDVD見ちゃって、怖くて…」
スッと私に近づくフェイ。
相変わらず動き早いな…
グイッと顎を掴まれる。え、なに?
無理矢理 顔を引き寄せられれば細く鋭い瞳が私の顔を覗き込む。ち、近いって!!
「…えと、フェイ…っ?」
「2、3本歯でも抜くか」
「はいっ?!」
「痛みで恐怖を紛らわせてやるね」
いやいや、怖い事を……
◆
「フィン~」
「どした?」
「一緒に寝て?」
「なんだよ 急に」
「シズクと一緒に怖いDVD見ちゃって寝れなくなっちゃって…」
頭をガシガシ掻くフィン。呆れた声を出しつつも 私を招き入れてくれる。
「仕方ねーな 来いよ」
「ありがとうっ」
ぬくぬく。あったかい。
フィンてお兄ちゃんみたい。
「…どこ触ってるの?」
「くびれ」
「…寝たいんだけど」
「夜 隣に女が来て大人しく寝れると思うか?」
真顔で言われても…なんか身の危険を感じる。
◆
「シャル~」
「ん?」
「眠れないの。一緒に寝て?」
「どうしたの?急に甘えた事言って」
「お願い……」
最後の頼み。すがる目でシャルを見つめていると シャルは眉を下げてふっと笑う。
「しょうがないな 特別だよ」
「ホントに?!ありがとう!」
シャルなら安心。ようやく眠れる。
ん……?あれ、急に眠くなってきたような。
「シャル…な、なにか…した?」
「アンテナ刺した。良質な眠りを約束するよ」
え……、シャルは満面の笑顔で 携帯電話をいじりだす。
「ブラックボイス発動。強制終了」
確かに安眠。無理矢理に。
fin