第48章 3Kの壁/イルミ(出番はなし)/ギャグ
「女が結婚に求める3K…」
「ん?なんの話?」
「……お前らそうやって馬鹿にしてるけど 実際イルミ様に勝てる要素がひとつでもあるって言うのかよ」
「なんだよそれ。俺イルミ様より優しいし面白い自信あるけど」
「俺だって生活班だしイルミ様より料理や掃除、家事は余裕で出来るけど?」
「バカだなお前ら。女はそんなの結婚に求めてねえんだよ 見ろよこれ!」
目の前に差し出されたのはあるページ。女が結婚に求める3カ条が生々しく記されていた。
「高身長。高収入。高学歴。」
「………」
「………」
「勝てんのかよ!どれか一つでも!」
散々文句で罵った 表情の薄いこの家の御曹司を頭に思い浮かべてみる。
憎らしくもスラリと縦に背が高い。
たかが使用人と暗殺エリートではその年収は比較対象にすらなりえない。
学歴と言うと少し違うかもしれないが 家業の為にのみ培われた技術も体力も精神力も、他に類を見ない逸材ぶり。
まさに自分らは負け犬の遠吠え。虚しい、の一言に尽きる。
「あ、俺そろそろ休憩終わり…じゃ…」
「ああ…俺も」
「俺も…晩餐の仕込みの時間だったな…」
3人それぞれ力なく休憩ルームを出た。
ただ、女性と接点の薄い世間知らずな3人は その3Kとは一昔前の3Kである事を まだ知らないのであった。
fin