第48章 3Kの壁/イルミ(出番はなし)/ギャグ
それなのに現実はどうだろう。あの冷酷無比な主は 産まれながらに遠く雲の上の人間であるのは 仕方なしの事実だとしても、上玉の嫁までをあっさり手に入れてしまうとはやるせなくて仕方ない。粗探しくらいはしたくなるのが人間である。
Bの評価はまだまだ続いていた。
「スタイルも良かったな。スーツみたいな格好しててコスプレぽくてなんかエロかった」
「マジで?!」
「声もちょっとだけ聞いたけど…結構可愛かった」
「声も?!どんだけだよ!」
「どうやって喘ぐんだろって想像したらヤバかった」
「ズリぃよ お前!ただでさえこの仕事してると可愛い子見る機会すら少ないのによ!」
「でも実際はイルミ様の下で啼かされてんのかーって思うとマジで複雑でさ。オカズにしてやろうかと思ったけど あの暗~い顔が途中チラつくわけよ…お前にこの迸る興奮と怒りがわかるか!?」
「ワガママ言うんじゃねぇよ!見れただけいいだろ!俺も見てぇよー!!」
勝手に主の嫁を女神扱いする煩悩まみれの若手使用人達。Aが真顔で声を低くした。
「でもよ。そんな特上級の子が本気でイルミ様の所に来ると思うか?」
「いや ねぇだろ。どうせ頭ん中に念針仕込まれてて脳みそイかれてんじゃねえの」
「あり得るな。そうじゃなきゃイルミ様と結婚しようなんて女いるわけねぇしな」
「一緒に住んだらすぐにボロ出てイルミ様捨てられるんじゃねえの?」
「かもな。ざまぁみろ いい気味だぜー」
「俺ぶっちゃけこの家の中でイルミ様が1番嫌いだもん」
「俺も。使用人に冷てぇし」
「俺等なんか奴隷かなんかだと思ってんじゃねえの?好きでテメーの世話なんかするかっての」
「何様だってんだよ」
「ご長男さま イルミさま、だろ?」
「全っ然面白くねぇよっ!」
手を叩いて笑っていると Bがガサリとある雑誌を取り出し、しげしげとそれを見つめ声を響かせた。