第41章 幻想/フィンクスメインで月餅/ほのぼの
「……ねぇちょっと!聞いてるの?!」
隣でわざとらしい程に声を荒げて喚き散らしていると言うのに フィンクスは見向きもしない。いい加減イライラしてきてベットの上で狸寝入りを決め込む男の腹部に跨り、全体重をかけてやった。
「フィンクス!起きてっ!聞いて!」
「聞こえてるよ、るっせーな」
鋭い瞳が心底迷惑そうに薄く開かれる。そこに視線をぶつけながら顔を落とせば、両耳の横からさらさら流れる髪が 視界を薄暗く塗り替える。
「シャルがあんな男だと思わなかった…ッ!!」
「知るか」
「出会った頃はあんなじゃなかった!」
「下心があったからだろ?」
「付き合い初めはずっと優しかったのに!」
「お前ら付き合ってたの?初耳」
また勝手に目を閉じようとするフィンクスを逃がすわけにはいかないと、両掌でフィンクスの頬をぺちんと包み 一方的に話を続けた。
「だって私の事好きって言ってくれたよ!」
「んなの鵜呑みにすんなよ。馬鹿なんじゃねーの?」
「本気だって言ってた」
「それを素直に信じ込めるとは随分めでたい脳みそだな」
「…好きだったのに…っ」
「趣味悪ィ」
「だってめっちゃタイプだし超っっ格好いいんだもん!!あの爽やかな笑顔に騙された」
「ご愁傷サマ」
くだらない話には付き合ってなどいられないと、フィンクスは無理やり目を瞑る。ようやく目の前が静かになった。
♪♪♪♪♪~