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〈短編〉H×H

第40章 媚びと本能/ヒソカ/猫夢主目線/死ネタ


「にゃあん」

猫撫で声を上げながら彼の足元に擦り寄った。そろそろ腹が空いて限界だ。とにかく、この愛らしい容姿と甘えた声に反応しない人間は記憶の限りいやしない。どこか怪しさを備えた彼は すぐにこちらに反応する。

「迷子かい?」

餌という対価をもらう以上 人間の欲するサービス提供は必須である、身体をくねらせ極上の鈴の音で にゃんにゃん何度もおねだりをする。

「ボクはいつから動物に好かれるようになったんだろう」

大きな手が伸びてくる。頭を優しく撫でられ、もどかしいまでに軽い触れ方をするその指先が するする背筋の方まで移動する。彼の掌に柔らかく顔を押し付けてみれば、どこか懐かしい臭いがする。

「甘えん坊だな」

ふわっと身体が浮く、両手で持ち上げられると 彼はこちらの顔を覗き込んでくる。自慢の丸い大きな目でじっと彼の瞳を見つめ返した。深く、鋭く、少しだけ猟奇の色がある。観察をし合えば尚更、ウズウズしてしてきて堪らなくなる。

「…おっと」

視界に入る派手色の頬の模様が気になって気になって仕方ない、つい片手に軽く爪を立て 彼にじゃれついた。彼はそれをさらっとかわすと もう一度、柔らかな毛並みを軽く撫で回してくる。

そろそろお遊びは終いの頃合い、こちらは望むままに身体を触らせ可愛く甘えて見せてやったのだから 餌の一つでも貰う権利がある。
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