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〈短編〉H×H

第8章 白くてトロトロ/イルミ/キキョウ/下ギャグ


広い廊下を歩き ある部屋の前でふと足を止めた。
彼女はゾルディック家の麗しの奥方 キキョウ付きの1人のメイドだ。ただ今 豪華絢爛を絵にしたようなキキョウの部屋の扉の前で 顔と身体を派手に固まらせるハメになる。

「ねぇ 母さん もういい?」

「ダメよ…もう少し」

「いれてみたい」

「まだ早すぎるわ…」

キキョウの独特のクスリと高い笑みと共に 何やら怪しい会話が聞こえる。お相手らしい殿方の声にも聞き覚えがある。キキョウが産んだこの家の第一子、母に良く似た容姿をした長兄のイルミである。

「ダメよ…イルミ 待ちなさい…!」

「無理。待てない」

「そんな、一気に…もっとゆっくり、少しづつ、」

「どうせ全部入れるんだから一緒だよね」

扉の前で ゴクリと唾を飲み、息を殺す。
メイド無勢が主のトップシークレットとも言える秘め事に聞き耳を立てるなど言語道断、見て見ぬフリをすべきなのか。はたまた 少しの抵抗をしている風でもないキキョウを助けるべきなのか、頭の中で答えの出ない問いを繰り返した。
戸惑いながらも耳に全神経が集中する。

「イルミったら、だめよ…!」

「どうして?」

「そんなに激しく…っ、掻き回しちゃ、」

「この方がいいでしょ」

「あぁっ、待ちなさい 言う事を聞きなさい…!」

「母さんの言うとおりにしてたら いつまでたっても出来そうもないし」

これは由々しき事態である。扉の向こうで起きている事を想像しながら しどろもどろになるしかない。
目味麗しい親子の事情に 扉越しに遭遇する事になった不運を嘆きつつも、耳だけは部屋の中の微細な音を拾おうと必死になっていた。

「イルミ、いい加減にっ、」

「…そろそろいいかな」

「ダメっ、ダメよ…待ちなさい」

「待てないよ」

「イルミ、やめ……っ!!」

どうすべきなのか。判断の矛先がわからない。
奥方付きメイドとしては キキョウの意思を組み仲裁すべきなのか。ただ自分のどこに この場に割って入る勇気があるというのかわからない。

「ねぇ母さん、ココに かけていい?」

「やだ イルミったら、そこはダメ…っ」

「あ、出るよ」

「!!!っ、そんなに、沢山…」

「ほら 白くてトロトロしたやつ」

「…あぁ そんなに溢れさせて…困ったコね……」

悍ましい事情の終わりにホッとするようなしないような。
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