第32章 依存症/アダトリややクロロ寄/裏依存夢主/死ネタ
かつて蜘蛛と呼ばれる集団に対峙した過去がある。彼等を束ねる頭は計算高く思慮深く 決して本心を見せようとしない。初めて会った時から数えれば それなりに長い付き合いになるが 未だに何を考えているのかわからない。
「………蝶?」
「ああ お前に似合うと思ってな」
ホテルの一室。薄暗い部屋をフワリと舞うのは 見たこともない美しい光を放つ蝶。深い青はこの世の物とは思えぬ幻想的な顔を見せている。目を奪われるその雅な発色に心臓が小さな警戒音をたてる。
「脱げ」
言い放たれるその言葉はお願いでも命令でもない。2人きりの空間ではクロロの言葉が法になる。疑問にすら思わず 1枚1枚服を脱ぎ捨てる。
「思った通りだ。その白い肌に青が映える」
「……っ、」
先程の蝶が肩に留まる。一枚の絵画でも見るように満悦気な顔をするクロロの視線が 一糸纏わぬ身体に刺さる。はだけた黒いコートから匂い立つような色香を漂わせ、流れる前髪から覗く瞳はどこまでも妖艶な眼差しで真っ直ぐにリネルを捉えて離さない。口先で小さくその名を呼んだ。
「クロ、ロ…」
ただ品物を愛でる音のないクロロの世界、これから始まると期待する行為が性行為なのかすらわからなくなる。先の展開も加減も、始まりも終わりも 全てはクロロの匙加次第。願わくば、このまま優しく激しく抱いて欲しいと思う。
「クロロ…ッ…」
「…」
「こんな、……い、やぁ…」
「こんなに濡らして何を言う。今お前のココを可愛がってやってるのは誰だ?」
「………緋の、目」
「ああ そうだ。お前の同胞」
クロロは低く笑う、子供が玩具で遊ぶように燃える色をした人間の眼球をリネルのクリトリスに擦り付ける。