第31章 恋愛クリエイター/イルミ/日常会話
イルミはきっぱりと言い返した。
「その時点でリネルはヒソカに負けてる」
「え……」
「諦めて付き合ったら?」
「……どうして?何度も告白してくるのはヒソカだしその度に私は振ってるのに?」
意味がわからないリネルは首を大きく傾けた。
「相手を選んでるって事はそもそも発想が受け身だよね。理想があるならそういう風に自分で誘導して創っていこうとは思わないの?」
「…創るって…」
「おそらくだけどヒソカはオレの考えに近い」
「…すごい発想だね」
リネルはぽかんと口をあける。イルミはその場からスッと立ち上がると 部屋の入り口へ足を進めた。
「お互いの理想に創りあったらいいんじゃないの?ヒソカとリネル、それなら丸く収まるよ」
「確かに見た目は丸く収まるけど…」
リネルは伺うようにイルミの背中に問い掛ける。
「でもさイルミ…あのヒソカを自分の理想に創り変えていくなんて…私に出来ると思う?」
「出来るかどうかじゃなくてやるしかない。でなければリネルはただヒソカに捕まってお終い」
イルミはそのまま振り返る事もなく部屋を去った。
ヴヴヴヴ…………
「また電話来た……」
リネルは音を立てる携帯電話を握り締めた。
「……理想に創っていく、か……よしっ!!」
ふっと口先で笑った後、リネルはヒソカの着信に応じた。
ドアの外でイルミは小声で口にした。
「強化系は単純か、ヒソカの言う通りだ」
fin