第30章 彼氏と彼女の事情④/アダトリ/下ギャグ/夢主はイルミの彼女
リネルは素早く顔を上げた。
「ねぇ!みんな素材は悪くないんだしとりあえずバスケやらせてみたらいいんじゃない?3人いるしスリーonスリーとかどう?」
「確かに元は悪くはないんだけれど。似合う似合わないはまた別の話よ」
「想像するだけでホラーだろ。あいつらのバスケとか」
「違和感を通り越してシュールすぎるわよ」
「ん?…ん~…いいアイディアだと思ったんだけど…」
提案自体は悪くはなかったつもりだが。リネルは一旦口を閉じた。
「………いや、ヒソカはいける」
「は?」
「想像してごらんよ。ヒソカがランニングのユニフォーム着てバスケボール持ってたら……なくはなくない?!てゆーかむしろ超カッコいいと思うんだけど!」
「そうか?」
「ヒソカはどっかでドッチボールをやったとかやらないとか風の噂を聞いた事あるし。バスケも似たようなものだよ、スピード感あるドリブルからのダンクとか……アリじゃない?!」
「……不思議ね。何故か頭の中でヒソカがどんどん美化されていくわ」
「でしょ?!腕や足の筋肉とか絶対キレイだし絵になるよ!」
「不覚にも頭の中でヒソカに一瞬ときめいたじゃないの」
「設定はこうね。ちょっと不良の幽霊部員なんだけどバスケうまくて、普段はのほほんと気ままにやってるけど 強い敵にあたってズギューンモードに入るとヘアゴムで髪を無造作に括るの、どっかのテニス漫画の誰かさんみたいに!」
「リネルって結構オタクというか、想像以上に妄想癖なのね」
「ねぇどう?マチ この設定」
「………(放心)」
「あれ?マチー?バスケ部ヒソカを妄想しながらイっちゃったのかな。マチってば!!!」
「っ…、急に振るなよ…ッ」
「だよねだよね!ありだよね!汗とかエロいし舐めたいよねっ!」
「は?!あ、あたしは何も言ってないだろ!勝手に要訳するな!」
満足そうに頷いた後、リネルは冷めた声を出した。
「それに比べてイルミとクロロは…」
「残念の極みね」
「想像してみること自体が神聖なるバスケに対する冒涜だな」
勝手な酷評と共にやってくる静寂、リネルはふと明るい声で切り込んだ。