第30章 彼氏と彼女の事情④/アダトリ/下ギャグ/夢主はイルミの彼女
楽しそうに想像を巡らせる2人に、マチは冷めた目を向けていた。
「オマエらな…穢れた妄想で作品をけなすなよ…」
「え?そういう視点で持って読むでしょ?普通」
「真面目に世界観を楽しみつつ、裏では個人的にキャラクターとのアレコレを考えてしまう。というのが普通でしょうね」
「そういうマチは?一体誰にそんなにハマっちゃったの?」
くいっと首を捻り可愛らしい角度で見上げてくるリネルを見ながら、マチはもごもご口籠っていた。
「べ、べつに…あたしは…」
「え?誰?」
「流川楓」
「なっっ…なんで言うんだよパク!!!!」
「流川?!マチこそ王道だね」
リネルは瞳をパチパチさせながら、次なる分析を始めた。
「流川かぁ…確かに文句なしにカッコいいけど なんていうかカッコよすぎ?非の打ち所がなさすぎるって言うか」
「ふん、あたしだってわかってるよ。実際あんな男絶対にいないだろ」
「あと流川はちょっと真面目過ぎない?男は多少ヤンチャと言うか遊び心みたいなのがあった方がいいと思うけど」
「うるさい。そこがいい所なんだろ楓クンの」
ふんとそっけないマチを他所に、残る2人は固まっていた。
「聞いた?パク “楓クン”」
「ええ 聞いたわ。“楓クン”」
「……なんだよ。文句あるか」
「いや、流川の事を名前で呼ぶコっているんだなーと思って」
「なっ、なんだよ!悪いかよ!?」
「いや 悪くはないけどさ。想像よりもマチ重症なのかもね」
「うるさいな ほっとけよ!大体なんだよリネルだってイルミの事名前で呼んでるだろ!」
「呼んでるけど それを当たり前に引き合いに出されても…次元がまるで違うし…」
「お、同じだろっ別に!!」
「マチったら何赤くなってるのよ」
「そんなにいいんだ~楓クンー照れちゃってかわいいー♪」
「オマエな…黙らないとその口縫うぞ!!!」
声を荒げるマチを宥め、リネルは話を戻した。