第29章 彼氏と彼女の事情③/アダトリ/下ギャグ/夢主はイルミの彼女
トランプカードを混ぜた後、六枚のカードがそれぞれの手に行き渡った。
「「王様だーあれ?」」
イルミ「オレだ。じゃあそうだな、1番はオレに2000億ジェニーの小切手頂戴」
「「……」」
イルミ「なに?何かおかしい?」
場の空気がピンと固まる。クロロは深い溜息をつきながら言った。
クロロ「……お前はこのゲームの醍醐味をまるでわかってないな」
イルミ「え?醍醐味って?」
クロロ「仕方ない恋人ヘルプだ。リネル、手本の命令を見せてやれ」
イルミ「ペナルティがどうとかってさっきのルールの設定はなんだったのさ」
リネルは部屋を見渡しごくごく無難なオーダーを出した。
リネル「えっと、じゃああれ。1番はまだ誰も手を付けてない異国料理の激辛ワサビズシを3個一気食いで」
クロロ「誰だ 1番は」
ヒソカ「ボク」
リネルは 重圧感たっぷりの笑顔でワサビズシをまとめてヒソカの前に差し出した。
リネル「さっ どうぞ」
ヒソカ「心なしか楽しそうじゃないか」
リネル「そうかなあ あれ?ヒソカ辛いの嫌い?」
ヒソカ「そんな事な、…あるワケナぃだろ…っ」
ピクピク肩が震えだす。
日頃、凍れる程の冷酷な余裕をしたためて止まないヒソカの瞳が俄かに潤み出す。完璧なカーブを決めていた唇が へろんと不思議な形に歪んでいた。
パクノダ「ヤダ、何よそのカワイイ反応。奇術師ってば辛いの苦手なのかしら?」
リネル「奇術師に不可能はないんじゃなかったの?」
ヒソカ「…くゥ…っ、水…」
リネル「くゥだって、奇術師がくゥって言ったよ!」
パクノダ「奇術師なら水なんて庶民的な方法で打開しようとするんじゃないわよ」
ヒソカ「…マチ、…、…」
マチ「だらしないねそれくらいで 男ならシャキッとしな」
ヒソカ「……(辛)」
クロロ「ふ、いいザマだなヒソカ。わかったかイルミ こういうことだ」
イルミ「精神的に抉られるゲームだってことはわかったよ」
クロロ「さあ次だ」
涙目のヒソカを置いてきぼりに 第二オーダーがはじまった。