第26章 強く賢く生きる方法/イルシャル双子設定/現パロ/死ネタ
シャルナークは呆れた顔で肩を落とす。人を殺めた後とは思えぬ程あどけない表情をしているシャルナークを見ていると いかなる時も強者が支配権を持ち、勝者こそ正義であると信じることが出来る。感情も何もかもぐちゃぐちゃだからこそ 目の前の事実を素直に受け入れる。
力ない身体をふわりと優しく包まれる。控えめに顔を上げてみれば、シャルナークに 脱いだジャケットをそっと被せられていた。
「…シャル…?」
「実はさ、さっきから目のやり場に困ってるの」
「え?」
「胸見えてるし」
「やっ、ゴメン」
咄嗟に両手で服ごと胸元を覆う。大きなサイズの服に深く顔を埋めていると、この場をからかうような声が落ちてくる。
「それ、汗臭いかもしれないけど」
「……そんなことないよ」
リネルは素直にそう言い、弱々しく笑って見せた。
昔からイルミよりもシャルナークの方が優しく話しやすく、面倒見も良かった。故に 彼等が双子であるのが事実なれば 兄はシャルナークの方だろうと勝手に思ってはいた。互いに身寄りも家もないし、今となっては日の当たる場所を歩ける立場でもないが こんな日ばかりは昔の気持ちに戻り少しだけ甘えたくもなってくる。
その期待を裏切る事もなく、シャルナークはリネルをそのままにしたりはしなかった。そっと背をさすりながら近くにあった安いホテルまで連れて行ってくれた。知り合いに助けられた事に安心感はあるが、それでも先程の暴行を思い出すとまだ小さな震えは止まらなくて、気味の悪い汗は出るし 暑いのか寒いのかもよくわからないままでいた。
◆
「リネル」
「っ」
千切られた服から覗く身体を直に見たせいか、久々に会えた仲間への懐かしさからくる感情なのか。それとも「殺人」とは 精神を興奮させ理性を麻痺させる作用でもあるというのか。どこでスイッチが入ったのかもよくわからないシャルナークは 部屋に入るなりベッドに雑に押し倒してくる。両手をシーツにきつく固定された。
「……………シャル、ッ」