第26章 強く賢く生きる方法/イルシャル双子設定/現パロ/死ネタ
別の角度から他の男が 口内に男性器をねじ込んでくる。汗と尿臭さに吐き気を覚えるが、それをこなすだけでこの場がおさまるなら簡単である。脳を強制破壊する薬の投与だけは許すわけにはいかなかった。
それなのに。無駄な足掻きは意味をなさず、腕の一点に痛みが伝わる。
「薬漬けでのプレイは1度味わったら抜け出せねえ 身体に教えてやるよ」
「…ッ、…」
何故こんな事になってしまったのか、一体どこで間違えたのだろう。
“院を出た時から?夜の世界に身を投じた時から?逃げようとせず大人しくしていればよかった?”
出口のない問いだけが 悲しく頭の中を回っていた。
もうダメだと人生を諦めた時、聞いたことのない音がした。プシュンと鼓膜に伝わるのは決して大きくはないのに やたらと耳を抜ける音。不可解な振動数に怯んだのはリネルだけではないようで 一瞬周りが静かになる。
「…何モンだ?!てめえ」
口の中を弄っていた目の前の男がばたりと崩れ、続いて他の男の怒号が飛んだ。
先程の音の根源も 発した主も何もわからず、リネルは恐怖に支配されたままである。固く目を閉じる反面 耳だけが敏感に働いた。
「やっぱりリネルだ」
「……っ」
記憶は正直だ。声の主が誰であるのか、一瞬で察しがつく。ギリギリまで大きく目を開け すぐに確信を得た。
暗闇にいるのはあのシャルナークだ。声も雰囲気も、さよならをした瞬間から少しも変わらなかった。しかし、懐かしいはずなのに 戸惑いは増す一方だ。初めて見る彼の洋装も理由の一つで 指先までを全身黒で統一された服装や、大きな瞳を隠すサングラスは 明らかに「普通」の立場の人間と違う事を浮彫にしている。
黒い手袋に覆われたスッと伸びる手先に所持している物が リネルの推理を更に肯定する。銃なんて物を平然と持ち合わせている時点で もはや彼はこの国の真っ当な国民ではない。
「ブチ殺すぞ ガキが!!」
荒ぶる男達に向け シャルナークは再び手にしていたものを構える。暗い闇の中、滑らかなボディーフィルムをしたシルバーの銃が 先程の注射器の数倍も怪しく光って見えた。
リネルを取り押さえていた男達も胸元から同等のものを取り出しシャルナークへ突き付ける。リネル1人だけが 逃げる事も出来ずに カタカタ震えながらその様子を見ていた。