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〈短編〉H×H

第26章 強く賢く生きる方法/イルシャル双子設定/現パロ/死ネタ


見事ハモって指摘されれば、なる程と思う部分もなくはない。リネルなりに世の中の縮図の触りくらいは理解しているつもりだ。

「あー…オンナを武器に、とかそういう意味かぁ…」

「そ!使えるものはうまく使っていかないと」

「どうせリネルは肉体労働なんて出来ないでしょ」

「う~ん…難しい…」

無条件に与えられている性別は 何も持たぬ今、確かに有利かもわからない。しかしそれを行使する才能と運があるかどうかは また別の話である。そして今のリネルには 少しもそんな自信はなかった。

「ね! あそこ寄ってみない?」

またも明るく言うシャルナークの声に顔を上げた。彼の指差す先には 可愛らしい雰囲気漂う喫茶店がある。店先にある脚の丸っこい木製の椅子には、数人が座り入店待ちをしている様子が伺えた。

「……ケーキ屋さん?」

「うん。オレ達の卒業祝いって事で」

「お前そんなの食べたいの?」

「縁起モノだよ。これからを強く賢く生きる為のね」

2人の了承を得ぬまま シャルナークはそそくさとその店へ向かってしまう。イルミとしばし顔を見合わせた後、仕方なしにシャルナークの背中を追った。

数十分の待ち時間で入ることが出来た喫茶店の中は、リネルの目には おとぎ話に出て来るお菓子の家みたいに映った。入り口横のショーケースには弾けるフルーツが飾られた目にも鮮やかなケーキ達が並んでいる。クリームやチョコレートは皆、繊細な形をしていて 一体どうやって作ったのかと真面目に疑問に思ってしまう。

3人が通されたのは窓際の明るい席だった。店内の8割強を女性客がしめる空間では 質素な服を着た男女比2対1の面子は珍しいのか、少しだけ周りの視線が気になった。言い出しっぺのシャルナークはそれをものともしないまま、メニューに載る写真を見つめた。

「ふーん。1番人気は“苺のタルト”か」

「すごい…苺が何個も乗ってる…」

「これで700ジェニーって高いの?安いの?」

「さあ………。」

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