第26章 強く賢く生きる方法/イルシャル双子設定/現パロ/死ネタ
「はぁー ようやくこの日が来たって感じだな」
大きく伸びをし軽快な声を出すのはシャルナークだった。人目を引く容姿と勤勉家である性分と、何より孤児院育ちとは思えぬ人当たりの良さで いつも周りに可愛がられ目立つ存在であったのは リネルの目にも明らかだった。
「シャル 嬉しそうだね」
「うん そりゃ嬉しいよ、もう自由なんだし。リネルは嬉しくないの?」
「嬉しいと言えば嬉しいんだけど…」
喜びもあるが 正直今はまだ、不安の方が大きかった。リネルは大きく息を吐き シャルナークを見つめた。
「これから先 どうしよう…」
「どうするもこうするもリネルの自由だよ。せっかく外に出られたんだから」
「そうだけど。これから何をしたらいいのかさっぱり……」
「まずは仕事を探す。じゃないの?」
横から声を挟んでくるのはイルミだった。幼い頃から子供らしからぬ物静かな空気感を持つ綺麗な青年で、彼の放つ雰囲気は 独特のものがある。頭の回りが早く 時には大人すら言いくるめてしまうのだから シャルナークとは違う意味で一目置かれる存在ではあった。
「…仕事かあ…」
「うん。生きていくには金がいる」
イルミの言う事はもっともだ。自由への祝い金として1人3万ジェニーを渡されてはいるが そんなものすぐに消えてしまうであろう金銭感覚くらいは持ち合わせている。
ただ、どんな仕事をどのように探し どう生計をたてていけばいいのかは、わからないの一言でしかなかった。
「イルは?仕事なにするか考えてるの?」
「具体的には何も。でも消去法でしか見つからないとは思う」
「消去法?」
「学歴も資格もコネも何もなくて付ける仕事って少ないんじゃないかなって事」
確かにその通り、リネルの不安はますます大きくなるばかりだった。
「はあ…余計心配になってきちゃった。私は昔からシャルやイルみたいに要領も頭も良くないし…」
「でもさー いいよね リネルは」
「? シャル それどういう意味?」
「オレも思うな」
「?? なんで?」
「上手くやれば1番手っ取り早くリスクなく一攫千金狙えるのはリネルじゃん」
「ん?どうして」
「「オンナだから」」