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〈短編〉H×H

第4章 パーミッション/イルミ/微甘/微裏


いつからか上下が逆転し覆い被さられているのはリネルの方だった。
悩ましい光沢を放ってやまないベルベットの黒ドレスの裾を分けて、内腿を付け根まで撫でられる。陰唇を隠す下着のラインを意地悪に辿られ、暗さの中では艶かしいまでに白い脚をソファにそっと立てられた。

「感じるの?」

目元に落ちる濡れた吐息は視界を更に悪くするだけだ。自己陶酔甚だしさで目頭に舌先を差し込んでくるイルミから 茶を帯びる水晶体を守る為に必死に視線を外す。溢れては落ち また込み上げては流れるだけの涙は 既にパーティー用に仕込んだ厚いメイクすら溶かしているだろう。

「違……っ」

性感帯でもない場所を執拗に攻められた所で未だにあるのは違和感だけだ。今では淫猥さしかないイルミの指は 濡れて充血している秘部を下着の上から規則的に突いてくる。
もしも感じている、とすれば それは角膜に起こる物理刺激からではなく そんな場所を愛撫されているという堪らなく支配的なこの状況にだ。

「すごいね ココ」

「…あぁっ」

いよいよ下着をずらされる。もはや収拾がつかない状態になっている秘部を指の腹が伝えば 悪寒を感じるまでに背筋が粟立った。


耳鳴りかと思う程 高い機械音が突如として聞こえてきた。今ではすっかり聞き慣れたこの音はゾルディック家専用無線機が飛ばすものだ。

それを受けイルミはようやく身体を起こす。リネルは霞む片目を開けて、何とか目の前の様子を見つめた。俄かに顎先を上げ音源へと手を伸ばす、はっきり浮き立つイルミの喉仏が 異性としての攻撃性を秘めて見えてしまう。

「なに?」

『おお イルミ。お前今どこじゃ』

「どこって部屋だけど」

ズボンのポケットに手を突っ込み無線機を取り出した後、イルミは何事もなかったように淡々と会話を始める。今もなお綺麗に着込んだ正装を乱していないイルミは 憎らしいくらい魅力的で、そんなイルミに乱されるばかりの自分が滑稽でいじらしく思えて仕方なかった。

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