第24章 唐揚げ白書/シャルナーク/死ネタ日常
消えそうな声で問われ、視線を娘に戻した。
今回この山を襲った理由は 厳密にはシャルナーク自身の意思ではなく団長であるクロロの判断と目的であると言える、一応それを掻い摘んで説明した。
「この山で掘られている鉱物が欲しいんだ」
「…ここで取れるのは、…産業燃料用に使われる低品質な鉱石ばかり…。お金にもならないしそこまでの価値はないよ…」
「うん 知ってる。でもさ」
大股で娘に近寄れば 小柄な身体はすぐに自身の大きな影の中に収まった。
「こ、来ないで……っ!」
「この鉱山には世間的には知られていないとんでもない秘密があったんだよ」
「……ひみつ……?」
「ここの鉱物は、世に出回る計測器でも判定不可レベルの超微細量の放射能を含んでいるんだって」
「……放射能……?」
「そう。キミはハンターって知ってる?実はオレ盗賊兼ハンターなんだけどちょっとしたコネで情報もらってね」
娘が、突き付けられる現実をまるで吸収出来ていないのは誰の目にも明白だった。それでも淡々と一方的に、シャルナークは今回の仕事を語っていった。
“小耳に挟んだ情報を世間話程度に団長の耳に入れたら妙に興味を持ったこと”
“放射能と念との融合、新たなる兵器の模索etc、博識な団長だけに思想もまた危険で独創的なこと”
“放射能を集めるのに どこぞの研究機関を襲うよりは、データ皆無な鉱山である方が自身らにも害が少なく難なく目的達成が出来ること”
“目的物全てを回収したらこの地は不要、山も人も何もかもを消してしまう予定であること”
「……っ、…そんなっ……、」
吐き気でも覚えたのか、娘は口元を両手で覆い 小さな背中を丸めていた。
「一つ聞きたかった。この店の鶏は輸入物?」
「……ッ!!……何故……っ、」
「その顔じゃビンゴ?オレの想像は間違ってなかったな」
「……っ、」
「気温もあるかもしれないけど この地では家畜はうまく育たないんじゃないのかな、もしくは育っても質が悪いとか。微量とはいえ放射能の影響はゼロではないのかも」
「……っ、!!」
「この山の人間は皆揃って背が低いのは そこに因果関係があるのかもしれないしね」
「……もう、…やめて……ッ」