第24章 唐揚げ白書/シャルナーク/死ネタ日常
二人の台詞が物語る。ここは仲間を出し抜くよりも連帯行動が優勢、どっちみち見張る必要は皆無に近いのだから 大きな問題はないだろう。明るい声で言ってみる。
「…言っておくけどあまりの美味さにチビんなよ!」
「あ?」
「シャルはチビたのか」
先日の夜同様、シャルナークは例の店に足を急がせた。
鉱山から例の弁当屋まで多少の距離はあるが 彼等の足なら一瞬だった。当たり前だが今日は客はいやしない。
シャルナーク自身も今回は客である気は毛頭ないので、裏戸を蹴破り調理道具や材料素材がごった返したままの狭い店に足を踏み入れた。
「あ、あなたは……っ」
中にはあの娘がいる。シャルナークの事を覚えていたようで 一瞬だけホッとした表情を見せた。
「ねえ、何だか今日はおかしいの……お客様が全然来ないし さっきから山の方で大きな音がしてるし…何かあったの?他の皆は?」
すぐに、不安を隠しもせず娘は問いかけてくる。シャルナークは彼女に清々しい笑顔を向けた。
「今日は客は来ないしこの店は今日限りで閉店だよ」
「……え……?」
娘の細い肩がピクンと緊張する。小柄な背丈は動揺に揺れ ますます小さく見えていた。
「種明かしするとオレは山男じゃなくて 本業は盗賊なんだよね」
「……とうぞく……?」
「うん。団長が、あっ団長ってオレ等のボスの事ね。団長がこの山に目付けちゃってオレは数日前から張込みの任を受けて今日この日を待ってたってワケ」
「……どういう事……っ」
娘はあからさまに平常心を失っていた、話を飲み込めない様子でいる。ただ、彼女の疑念を綺麗に拭ってやるまでの義理はない。
娘は震える足で数本後退りする。瞳をしばたかせた。
「……じゃ他の皆は……、」
「今頃他のメンバーが殺ってるんじゃないかな」
「……やってる、って……」
「皆殺しにしてる」
「……、……ッ」
「そろそろ終わってる頃かもしれないけど」
そう言えば爆音が減ってきたようにも思う、シャルナークはすっきりした顎を上げ 鉱山の方を見た。
「……あなたの……、目的は何…ッ?」