第24章 唐揚げ白書/シャルナーク/死ネタ日常
2日後。当初の予定通り一旦は仲間と合流した。それぞれの持ち場役割は既に決められていたので、ここで得た事前情報を共有した後 シャルナークはフィンクス、フェイタンと共に例の鉱山の下降付近にいた。
「でさ。その唐揚げ屋、厳密には弁当屋なんだけど とにかくそこの唐揚げがマジで美味いのなんのって!」
「さきからその話ばかりね この数日何してたか」
「つーかシャル、そんな唐揚げ好物だったか?」
あの弁当を食べ終えた後、かなりの満腹感としっかりした味付けに しばらく唐揚げはいいかと思ったのは確かだが 不思議と恋しくて堪らなかった。不覚にも あの日後ろに並んでいた鉱山男のいう事も一理あると思えていた。
「……おっ、始まったか」
「数日張ってたけどここは人間自体少ないし。あっという間に終わるんじゃないかな?」
唐揚げの話を繰り返しているうちに鉱山の奥の方から騒がしい音が聞こえはじめる。
銃声。悲鳴。爆発音。
岩が砕かれる音。
山が斬られ砕ける音。
逃げ惑う人間の足音。
骨が折れ内蔵が潰れる音。
迷いなく繰り返されるのは仲間達の攻撃音だ。
馴れ親しんだ破壊音をBGMにしながら 見張り役の3人は当たり障りない会話を交わし合う。
ふとした話の切れ目に フェイタンは隠れた顎を引き少し目元をきつめた。
「……しかし団長の気まぐれも時々訳が分からないよ」
「そう?なかなか面白いと思うけどなー」
「オレはフェイに同感」
「回収開発が上手くいけば国一つ余裕で牛耳れる核兵器が出来るかもしれないのに」
「国や兵器なんて欲しいか?」
「そう言われると欲しくはないけどさ」
シャルナークはあははと笑って見せた。鉱山の制圧も、目的の物の回収も、この様子ならばつつがなくあっという間に終わるであろう。
やや遠くを見る、目的を達すればもうここには二度と用はない。
“願わくはもう一度だけ”
そんな純粋な願いが脳裏を掠める。シャルナークは静かに足を動かした。
「待てシャル。どこ行く気だ」
「ちょっとオシッコ」
「ウソね。1人だけ仕事サボって唐揚げ屋行こうなんてふざけすぎね」
「あれ バレてた?」
「お前ウソ下手過ぎなんだよ」
振り返ればフィンクスがズカズカ近づいて来る、その後ろにはフェイタンも続いていた。
「そんなにオススメなら食べてみたくなんだろ」
「腹も減たね」