第21章 転生りんね/アダトリ/高校生転生ネタ/日常
ヒソカ
-リネルにとってはかつてのヒソカだが-
きっと今日も一方的に相手に因縁をつけてから この流れに持ち込んだのだろう。引きずるように連れてきたクロロに目配せをした。
「…やれやれ」
片手でネクタイを軽く緩めるその仕草は過去にも何度か見た事がある。クロロは素早くヒソカに近付き、返り血の飛ぶ乱れたワイシャツの胸倉を掴んだ。
「いい加減にしろ。妹が泣くぞ」
「やぁ、団長♡」
「そう呼ぶなと言ってるだろう」
「ならアナタが遊んでくれる?…まだまだ少しも満足出来ないんだよねぇ」
「救いようのないバカだな。こんな価値もない雑魚を殺して未成年でネンショ入り、人生を棒に振るつもりか」
「スリルのない人生って生きる価値ないだろ?」
「そこがバカだって言っているんだ。いい加減己の状況を理解しろ」
「ああ、もう……やっぱりクロロはイイなァ」
嘲笑うような冷たい眼が ヒソカの薄色の前髪から覗く。その鋭い眼光は、当時よりも一回り幼い外見には不似合いな程。
白い顔には傷一つなく、どこまでも挑発的な雰囲気を放っている。
◆
あれから3人川原に並び 芝の上に腰を下ろす。何をするでもなく ただぼーっと目の前の川を眺めていた。本当に退屈な日常である。
その空間を邪魔する音が鳴り止まない。先程から隣で何度も震えるそれに いよいよ指摘を投げ掛けた。
「ヒソカ。さっきから携帯鳴りっぱなしじゃない?」
「クラブ行こって誘われたから その催促かも」
「え?誰に」
「3組のリカちゃんとマリエちゃん♡」
「あの辺の女子、ウリとか整形してるって噂だよ…」
クロロが横から口を挟む。どこか面白がる風に リネルを鼻で笑ってみせる。
「かつての恋人がモテるのはやはり面白くはないか?」
「はぁぁ?!別に恋人じゃないし!適当っていうかなんて言うか、女癖の悪さは生まれ変わっても治らないんだなって思っただけ」
「キミこそ素直じゃない所は変わらないじゃないか」
「あ~ぁ 兄妹に生まれ変わってホント良かった。もう二度とヒソカとは変に付き合いたくないし」
「ボクも同感だよ」
「虫唾が走る、痴話喧嘩ならよそでやれ」