第19章 〜相澤消太〜主目線
それから私はあからさまに消太くんを避けた
別に彼が悪い事をしていたって思わない
お付き合いの1つや2つしていても構わない
だけど心のどこかで希望を抱いていた自分が恥ずかしかった
確かに消太くんの為に努力はしていた、だけどあんな形で現実を突きつけられるのは想定外だった
彼は変わらずに家にちょくちょく来る
でも私は消太くんとどう話していいかよく分からずに挨拶だけして部屋にこもる日々が続いた
やがて、中学3年になって進路を決める時期になった
出久くんは憧れの雄英高校に行くと真剣な顔で話してくれた
私はというと、あいも変わらずに親しい友人は出久しかいなくて
唯一の親しい友人と離れるのは嫌だ
でも、雄英には消太くんがいる事を私は知っている
何かの話の流れで消太くんが雄英の先生になった事を知った
本当は姿が見えない方がこの気持ちに整理がつくのかも知れない
だけど、この想いを無駄にしたくないのも正直なところある
どうせ駄目になるのならいっそのこと・・・・・
丁度 秋彦が仕事から帰って来たのだろう 玄関から扉を閉める音と声が聞こえる
私はガチャリと自分の部屋のドアノブを回した
「パパ、お帰り」
「あぁ、華か、ただいま」
玄関で靴を脱いで上がろうとする秋彦に華は階段を降りながら声を掛けた
「今日はお土産があるぞ〜、華の好きなショートケーキ」
「ありがとう、パパ、ところで話があるの」
「ん?何だい?お小遣いなら上げないぞ〜?」
ケーキの箱を片手で上げながら冗談ぽく笑う姿に口を開いた
「あのね パパ、私ーーーー」