第19章 〜相澤消太〜主目線
それから私は少しでも消太くんに近づけるように努力した
髪も伸ばしたし、スタイルをキープするためにダイエットもした
メイクだって一生懸命本を見て勉強したし料理だってママと一緒に練習もした
それもこれも全部消太くんの為
いつか彼のお嫁さんになることを夢見て我ながら必死だったと思う
だって彼は私の愛情表現を嫌がることなく受け入れてくれていたんだから年頃の女の子は勘違いもしてしまう
でもそれは私が中学一年生の頃までの私
※
たまたま、出久くんと街で評判のクレープ屋さんに出掛けた
美味しいと聞いていたのでワクワクしながら出久くんが買って来てくれるのを近くで待っていた
ふと、目線の先には見知った消太くんの姿が
休みの日にも顔が見れるなんてラッキーなんて心弾ませながら声を掛けようと手を振ろうとする手が
空中で止まった
確かに目線の先にいるのは消太くん、でも隣にいるのは知らない女の人
何だろう 足元が崩れるってこういう事を言うのかな?
その人は誰?
何で親しそうに歩いてるの?
何かを話しているのは分かった、でもいつも無表情な消太くんが一瞬だけ笑った
その様子を声をかけることもなくボーっと見つめていた
「・・・・?どうしたの?華ちゃん、誰か知り合いでもいた?」
ふと気が付いたら手にクレープを持った出久が首を傾げて見ていた
「ううんっ!人違いだったみたい」
慌てて振り向くと首を振りながら微笑んだ
「そう?はい、華ちゃんの分、イチゴで良かったかな?」
「勿論、わぁ、美味しそう」
言いながら出久の手からクレープを受け取るとそのまま口へと運んだ
「・・・・美味しいね」
「だよねっ!甘さがくどくなくって丁度いい感じでー」
ごめんね、出久くん
きっとイチゴは甘くて甘くて美味しいはず
だけどあんな場面見ちゃったら
今の私には味がしないの