第16章 〜爆豪勝己〜体育祭後〜
こんな感情は初めてだった
今までは、なんだかんだで近くにいてもそんな感情は湧かなかった
勝己が怒りを露わにするには日常茶飯事だし、さほど気にはしていなかった
だけど、何故だか今日の勝己の怒りの声はなんとも言えない感情が見えた
「別に・・・何かして欲しいわけじゃねぇ・・・・」
泣きそうな顔の彼女の視線をふいっと反らしながら勝己はボソッと呟いた
優勝するのには意味があった。
優勝すれば華を表立って守れる事、幼い頃みたいに隠れて守らなくてもいい様な理由を作りたかった
それがどうだろう、理不尽な、納得のいかない結果にどうしていいかわからなくて華に怒鳴った
怒鳴って気付く、彼女の泣きそうな顔
違う
そんな顔をさせたかったんじゃない、優勝して笑顔で喜んでくれる姿にずっと守ってやるって言うつもりだった
だけど元々の性格がそうさせているのか、上手く言葉が出てこない
この感情をどう処理していいのか今の自分には分からなかった