第16章 〜爆豪勝己〜体育祭後〜
結局、優勝したのは勝己だった
だけど、納得のいかない決勝戦だったのは明白で
勝己は納得がいかないのか暴れて叫んでいた
何で轟くんが途中で力を抜いたのかは私には分からない
だけど、勝己の声が頭から離れない
体育祭の片付けが終わった後
何となく出久にも勝己にも何て声をかけていいのか分からずに1人、トボトボと校門を出ようとすると
ふと目線の先に勝己の姿が目に入った
まるで誰かを待っているかのように門にもたれるように立っている姿は怒っているようにも見える
華はふいっと目を逸らすように勝己の前を早足で通り過ぎようとするがガシっと腕を掴まれた
「へっっ?」
「何、見えてねーように通り過ぎんだよっ、あ“?」
「いや、誰かを待ってるのかなぁと思って」
「お前を待ってたんだよっ!行くぞっ!」
え?え?と言いながらズルズルと華は勝己に引っ張られるように歩いた
まさか自分の事を待っていたなんて思ってもみなかった華は引っ張られながら混乱していた
あんな勝ち方だったから1人でいたいものなんだと思っていたから1人で帰ろうかと思ったのに、勝己はそんな素振りも見せずに歩いて行く
「あ・・・あの、勝己?」
「なんだよっ!」
「1位おめでとう・・・?」
優勝したのは確かなのだから一言だけでも伝えようかと思ってポツリと呟いた・・・・のがいけなかった
「あ“あ”?あんなのっ!俺は認めねぇっっ!」
ばっと振り向いた勝己は今にも暴れだしそうな顔をして、掴んでいた腕に力を込めた
「・・・っ!いたっ・・・」
「俺が欲しかったのは完封までなき1位だっ!あんな・・・・あんな中途半端な勝ちは認めねぇっ!」
何だろう、怒ったように言ってるのに 怒ったような顔をしてるのに
何で私が泣きそうなんだろう
目に涙を浮かべる私の様子に気が付いて慌てるように手を引っ込める
「・・っ!ちがっ!お前を泣かせるつもりじゃっ・・・・クソっ!」
ガシガシと頭をかいてバツが悪そうな様子の勝己にフルフルと頭を振った
「分かってる、分かってるの、これは私が勝己に何もしてあげられないのが苦しくて」
どんな励ましの言葉や慰めの言葉を口にしたって届かないと分かってるから