第15章 アイスクリームの様に甘く〜緑谷出久〜体育祭後〜
〜緑谷出久目線〜
並んでベンチに座ってアイスを齧れば、口の中で甘い味が広がって、さっきまでの競技の疲れが飛んでいきそうだ
チラリと横を見ると同じようにアイスの包みを開けて美味しそうにアイスに齧り付く華の姿があった
こうして隣にいてくれるのも疲れが飛んでいきそうな理由の一つなんだけど
きっと彼女はそんな事気付きもしないんだろうなぁ
いや、彼女の中での僕の幼馴染というレッテルが剥がれない事にはどうしようもない
馬鹿正直に言ってもきっと冗談でかわされるに違いない
だったら行動で分かってもらわないと!!
「そういえば華ちゃんの食べてるアイス新作?」
心の中で決めたのはいいが、どう行動に移せばいいのか分からずに取り繕うようにアイスを指さす
「ん?そうそう、新作苺味〜♪なんか苺ですっ!って感じ」
美味しそうに感想を伝えてくれるけどイマイチ良く分からない
そっかと笑う出久の様子に伝わらなかった?という風に首を傾げながら「じゃあ、どうぞ?」と差し出す
えっ?これは食べろって事なのかな?い・・・いいのかな?
「あっ!ヤバイ垂れてきたっっ!」
グルグルと頭の中で考えている間にアイスが溶けて手のひらを伝う様子に
慌てて引っ込めようとする手を思わず掴んで
手のひらを舐めた
「うひゃっ!」
あ・・・しまったと思った時には遅かった
何が起こったか分からないというような顔をしながら僕を見つめる華ちゃんの顔があんまり可愛くて
もっと困らせたくなった