第15章 アイスクリームの様に甘く〜緑谷出久〜体育祭後〜
いつもの様に校門で待ち合わせして出久を待ってると慌てるように小走りで駆けてくる出久の姿があった。
その姿は包帯だらけで痛々しい
「そ・・・そんなに慌てて来なくてもいいよっ!傷に響くでしょう?」
「大丈夫大丈夫、リカバリーガールにも治してもらったし、見た目ほど酷くないよ?」
笑った腕を見せる様子に大丈夫だと言われても説得力がない姿だ
「・・・〜じゃあ、せめて私が鞄持つっっ!」
ひったくるように出久の持つ鞄を奪うとスタスタと歩き出すと出久は慌てるように華の後を追った
暫く無言で2人は歩いていた。
出久はこの無言の時間がいたたまれなかった、何かしてしまったのであろうか、それともこんなボロボロになって負けた姿を見てガッカリされたのだろうか、
駄目だ。マイナスな考えしか出てこない
ピタリと急に華が立ち止まるから、出久も慌てて立ち止まった
「華ちゃん・・・・?」
「私、ちゃんと出久を見てたよ・・・」
「うん・・・・こんなボロボロで格好悪いよね」
ボソリと小さく呟かれた言葉に出久は、ははっと笑う。その様子に華は首を振って否定した
「ううん、そんな事全然。格好良かった」
「ほ・・・ホントに?僕、ちゃんと華ちゃんの目に映ってた?」
「勿論、すっごく真剣に見てたから手に汗握っちゃった」
手をにぎにぎとして見せながら出久に笑うとその手に自分の手をそっと重ねてきた
「今はもう引いちゃった?」
「あ・・当たり前でしょう?どれだけ時間が経ってると思うのっ!」
握られた手に慌てながらも別なところから汗が出そうでさり気なく手を離した
「あっ!!ちょっ・・・・ちょっと待ってて!!」
バタバタと走って近くのコンビニに入って行く華を不思議な顔をして見ていると、両手にはアイスが握られていた
「はい、ちょっとだけどお疲れ様会しよう?どっちがいい?」
差し出してきた両手にはバニラと苺の棒アイスが握られていて「じゃあ、バニラ」そう言うと片方を差し出して
「はいっ、じゃあ向こうのベンチで食べて帰ろうよ」と言いながら、数歩先にある公園のベンチを指差した。