第13章 俺だけを見て〜轟焦凍〜体育祭前〜
「じゃあ、今の緑谷達にはかけてない?」
「当たり前でしょう?そもそも昔から一緒にいるのに今さらドキドキなんてしないし〜」
まぁ、突然驚くのは不可抗力な気もするけど
あれを知っているのは自分だけだなんて思うとそれだけで嬉しかった
華の個性はそれこそ人を惹きつける能力なんだろうけど、それだけじゃない様な気がする
初めて見た時から空気が変わった
フワフワと揺れるキャラメル色の腰まである髪に、同じ様に茶色がかった大きな瞳
何度、こちらを見て笑って欲しかった事か。
でも華が笑いかけてるのは緑谷で俺じゃない
だけど2人がただの幼馴染だと分かれば遠慮はしたくない
きっと爆豪の奴も華が気になっているのだろう。見ててよく分かる
付き合いは短いが、爆豪の性格は分かりやすい。
あぁやって昔から華に寄ってくる奴を蹴散らしてきたんだろう
悪いけど俺は怯まないぞ?
華が俺だけに笑ってくれるなら何でもする
「お前、自分の個性嫌いか?」
その言葉にぴくっと反応すると華は体育座りしていた膝に頭を乗せた
「こんな個性、好きな人なんていると思う?誰かれ構わず何だよ?笑っちゃうよね」
「でもコントロール出来るようになったんだろう?お前が頑張った証拠だろう?そこは認めてやれよ」
失笑するように笑った彼女の顔が悲しそうで、思わず彼女の肩に手を置きながら、な?というように首を傾けるとふっと笑った
「ありがとう、やっぱり轟くんは優しいんだね」
と笑った顔が不意打ちの様に可愛くてギュッと胸の奥が掴まれた様な気がした
あぁ、そうか俺はきっと華の事が好きになっていたんだ