第13章 俺だけを見て〜轟焦凍〜体育祭前〜
出会った時間は短い
言葉を交わした回数も少ない
だけど華には惹かれずにいられない
彼女が自分の個性に不安を感じるのであれば俺が守ってやる
ふと視線を彼女の首筋に移せば、痣は綺麗に消えていた
「首、もう消えてるから大丈夫なんじゃないか?」
そう言って指を指すと、華は気がついた様に胸ポケットに入れていた鏡で自分の首を見ると、安心した様に息を吐いた
「ちょっと驚いただけだから消えるのちょっと早かったなぁ」
安心した様な顔をして立ち上がると教室に戻ろうとした華の手を思わず掴む
「え・・・?何?どうしたの?」
「なぁ、俺といても痣は出ないのか?」
「??もちろんでしょう?轟くんといても驚いたりしないよ?」
よく意味が分からないという顔を見下ろしながらする彼女に少し悪戯心が出てしまった
「驚かなくていいからドキドキしてくれよ」
言いながら掴んだ手を自分の口元に持っていくと口付けを落とした
その様子に、最初はキョトンとしていた顔からみるみると顔が赤くなり
「あっ・・・・出てきた」
「と・・・轟くんが変なことするからでしょう?折角消えたのにっ!」
ばっと手を引っ込めながら手をぎゅっと握る姿がまた可愛らしい
「なぁ、それは俺にドキドキしてくれたから出たのか?少しは気になってくれたか?」
「轟くん意味がわかんないよっ!それにこれはビックリしたから出ただけだもんっ!」
首筋を片手で隠して後ろにジリジリと下がると捨て台詞の様に叫びながら走って行ってしまった
また逃げられたと思いながら顔はどこか楽しそうで
空を見上げて握っていた手をかざす
「これからは俺を見ればいい」
そうポツリと呟けば目を閉じた