第13章 俺だけを見て〜轟焦凍〜体育祭前〜
勢いよく中庭まで慌てて走っている彼女の手首をパシっと掴む
掴んだ途端にビクっと肩が揺れてゆっくりと華がこちらを向いた
「と・・・轟くん?何で?」
「あ・・・いや、急に飛び出して行ったから大丈夫かなと・・・」
いいながら掴んでいた手をそっと下ろす
「ありがとう、でも大丈夫だから」
「でもそれって個性出てんだろう?その・・・大丈夫なのか?」
「大丈夫、大丈夫、しばらくしたら治るし、治るまでじっとしていれば問題ないの」
そう言って笑った華はゆっくりと近くの木の幹に腰を下ろした
その様子にじっと華を見つめていた轟は無言で華の目の前に座った
「え?なんで轟くんまで一緒に座るの?私は大丈夫だよ?」
「いや、何となく。また何かあったら困るだろう?」
「ふふっ、なんだか轟くんって出久くん達みたいに心配性ね」
クスクスと笑う様子に轟は照れた様に頬をかいた
「その・・・何だ、その個性ってしょっちゅう出るもんなのか?」
「えっ?う〜ん、小さい頃は上手くコントロール出来なくて勝手に出たりとか大変だったけど、最近は上手くコントロールが出来るようになって、あの轟くんが見たような痣が出て、そこを触られなければいいんだけどね」
「そうか、でも何で今は出てるんだ?」
指をさしながら轟は首をかしげると華は首を隠す様に抑えながら照れた様に笑った
「あっ、これは急に峰田くんが飛んできたから驚いて・・・・・」
後は緊張とか動悸がすると出るんだぁと付け加えながら頭をかく
どうやら不意打ちにも弱い様だ
「その個性って誘惑の類なんだろう?緑谷から聞いた」
「あ〜・・・恥ずかしいなぁ、こんな個性私でも戸惑うのに、周りはなおさらだよねぇ、あの時はごめんね?つい癖で煙玉投げちゃった」
「いや、それは構わねぇんだが緑谷とかその、爆豪とか小さい頃から一緒なんだろう?そんなにしょっちゅうかけてたのか?」
「あぁっ、この個性って凄く都合がいいんだけど、身内とか10歳前後くらいの子にはあんまり効果ないみたいなの」
だから幼い頃一緒だった2人にはかかっても効果なかったんだよねぇと笑って言う
じゃあ、今は?もし彼らが個性に遭遇する機会があったらこの前の自分みたいになってしまうんだろうか