第37章 違和感
「さて、今日で俺の授業は終了です」
パンと手を叩いて清十郎はペコリと頭を下げた
そう、今日で清十郎の体術の授業は終了となった
「いえっこちらこそとても勉強になりましたっ」
「何か教えてもらってたらあっと言う間だったなぁ」
深々と頭を下げて感謝の気持ちを伝える飯田に反して上鳴は後頭部に両手を置いて軽く言うもんだから、その言葉に切島が反応した
「おい、最後くらいちゃんとお礼言えよ」
「いやいや、こちらも指導の勉強になったからお互い様だよ」
切島の言葉にそう言って笑うとそれじゃあ元気でといやにアッサリと踵を返して歩いて行こうとしたから出久は思わず声を出していた
「え?華ちゃんに挨拶して行かなくていいんですか?」
「あー…そうそう、勿論していくよ」
くるっと振り返り にこっと笑うと「さぁっ!寮に行こうじゃないかっ!」
と言いながら意気揚々と歩き出した清十郎の後ろ姿を出久はじーっと見つめていた
「おい、どうしたんだよ緑谷」
ツンツンと袖を引っ張られてハッとすると横には心配そうな顔をした切島がいた
「大丈夫か?疲れたか?」
「ううん、ちょっとボーっとしてただけ、ありがとう切島くん」
ゾロゾロと更衣室へ移動する生徒の中で同じように笑いながら話している清十郎の後ろ姿を出久はまた見つめていた
彼の態度の裏に何かがある様な気がして