第37章 違和感
「ははっ、華はライバルが多いな」
ポツリと呟いた轟の言葉に出久は少し考え込むように顎に手を置いた
「お?どうした?何か気になる事があるのか?」
「うん、轟くんも聞いてたでしょ?柳さんのあの言い方、まるで華ちゃんの個性を知ってるみたいだった」
「あぁ、だけど華は知るわけないって言ってたよな」
エレベーターの前でまだ立ち止まったまま轟は出久に聞き返すと それに対して考え込むように唸った
「う〜ん そうなんだよね どっちかが嘘付いてるのかなとも思ったんだけど2人共嘘は言ってないような気がして」
「それは俺も思った でもこれ以上聞いてもどちらも同じ答えな様な気がするな」
小さくため息を付きながら轟はポチッとエレベーターのボタンを押した
「何かこう…引っかかるんだよなぁ…」
ブツブツと言いながら降りてきたエレベーターに乗り込むと遅れて轟も同じ様にエレベーターへと乗り込んだ
「まぁ 柳さんが雄英に来んのもあと2日なんだしそんな気にするような事もねーんじゃねーか?」
目的の階へのボタンを押しながら轟がそう言うもんだから出久はこの何とも言えない違和感を無理矢理飲み込んだ
「そうだね、僕の考えすぎかもしれないしね」
その時はそう思い込んで無理矢理仕舞い込んでいた
だけどその違和感が確信に変わったのは彼の言葉だった