第37章 違和感
綺麗に声が被ってしまった事に焦凍はお先にどうぞと言うような視線を出久に向けた
「えと…轟くんは何であんな事聞いたの?」
そう、先程の質問は先日の清十郎との会話を聞いていないと出来ない質問に疑問を持った
「悪ぃ あの時聞いてたんだ 本当はあの話が華の事言ってるんじゃないかって聞こうとして戻ってみたら緑谷達もいて思わず隠れちまった」
そう淡々と だけど少し申し訳無さそうな顔をしながら「盗み聞きみたいで悪ぃ」とポツリと呟く姿に出久は慌てた
「いやいやっ!そんな謝らないでよ 出づらい雰囲気にしてたのは僕達なんだしっ!」
ブンブンと手を振りながら今なら出久自身も焦凍に聞きたかった事を聞けるんじゃないかと思った
「あの…轟くんって華ちゃんの事好きなの?」
答えはもう分かり切っているのに焦凍の口からハッキリと聞きたかった
「…あぁ、好きだよ」
キッパリといい切る焦凍に あぁやっぱりという様な顔を出久は焦凍に向けた
「緑谷だってそうだろう?」
じっと見つめてくる焦凍にコクンと出久は小さく頷いた
「うん、小さい頃からずっと好きなんだ」
「だろうな、爆豪もきっとそうなんだろう?見てれば分かる」
「ははっ…かっちゃんは気付かれてないと思ってるけどね」
そう、本当にバレバレなのは誰が見ても明らかなのに何故か華には気付かれない
それはわざとなのか本人にしか分からない事だが