第36章 見つめていたい
清十郎が前髪を掻き上げた途端に上鳴から「ギャーっっ」と言う声が響いた
清十郎の額の真ん中には大きな碧い目玉がキョロりとしている
「あら、これはビックリだわ」
「レーザー出るかな?レーザー」
「お前ら何でそんな冷静なわけ?目玉だよ目玉」
マジマジと見つめながら言う蛙吹やワクワクした眼差しを向ける麗日を見ながら上鳴は1人わーわー騒いでいる
「煩ぇっ!たかが目があるくらいで騒ぐなっ!」
「上鳴くんっ!折角僕達の為に個性を見せてくれたのにそれはないだろう!」
「あーいいのいいの、慣れてるから、それが普通の反応だから」
さほど気にしてないようににかっと笑うと改めて周りを見回した
「俺の個性 見た目はちょーっとアレだけど中々に便利なんだよ」
額の目を指しながらそう言う清十郎にちょっとか!?と生徒は思ったが敢えて口には出さなかった
「はいはいっ!じゃあどんな個性なんすか!?」
切島が手を挙げて質問すると横から峰田が口を挟んできた
「馬鹿だな〜切島 第3の目って言ったらやっぱり物が透けて見えるとか…服の透視とか…もがっ」
「お前ほんっと黙っとけよ」
最後まで言わせるか!と言う様に上鳴が口を塞ぎながら峰田を抑え込んだ
「あっ、じゃあシンプルに視力が良くなったりとか」
おずおずと小さく手を挙げながら八百万が言うと清十郎は正解というように親指を立てた
「半分正解かなぁ?俺の個性は視力向上にプラスαのオマケが付いてくる」
「「「プラスα?」」」
「そう、俺の個性は『追跡』っていう能力」
生徒達が声を揃えて聞いてくる様子に清十郎はざっくりと説明した
「見つけたい相手を頭の中で思い浮かべて個性を使えば大体10キロ前後の範囲でならそこまでのルートや障害物が全て透けて見えるんだ」
「す…凄い!そんな個性聞いたことがない!」
清十郎の個性を聞いた出久は興奮気味に拳を握っていた
「でもデメリットも勿論あるんだよ 俺は個性に意識を集中してるからその場から動けないしその代わりに随時イヤホンで救出者と連絡を取っている 個性を使い終わると急激に眠くなるんだよ」
まぁ 一人では使えないわけだけどね と肩を竦めながら笑った