第36章 見つめていたい
次の日からは早速 清十郎の特別授業が始まった
「さぁっ!今日から張り切って鍛えていこーっ!」
1人テンションが高い清十郎につられながら「お…おー…」と生徒達から声が返ってくると気を良くしたように笑った
「じゃあ 今日は基本的な間の取り方とかー…いや、でも…」
あれやこれやとブツブツ一人で予定を組み立てようとしている姿に昨日のチャラい姿が脳裏を生徒達の頭をよぎる
まさか授業もチャラいのではと不安そうな顔を隠さない生徒達に対して清十郎は気にしてないかのように見えた
「それじゃあ、始めようか」
パンっと手を合わせて深々とお辞儀をすると清十郎はにっこりと笑った
それからは驚くくらいに丁寧にみっちりと分かりやすく相手との間の取り方や、簡単な攻撃の躱し方を1人1人根気よく指導していった
最初は軽い態度と真面目な態度のギャップに戸惑いながらも次第に気にならなくなった
「何か想像してたよりも勉強になる指導ですわね」
八百万が額の汗を拭いながら近くにいた出久に話しかけると出久はキラキラとした目で清十郎を見つめていた
「凄いやっ!教え方も動きも全部分かりやすい!さすが道場を背負ってるだけあるね!」
尊敬の眼差しを向ける出久をチラッと見遣ると勝己はチッと舌打ちをした
「ねーねー柳センセー、昨日見せてくんなかった個性見たいなー」
「え?いきなり?」
授業も残り僅かになってきた頃に上鳴が手を挙げて放った言葉に清十郎は間の抜けた声を出した
「確かに、気にはなるよね」
上鳴の言葉に乗っかるように耳郎がぼそりと呟いた
「そんな見て楽しいものじゃないけど」
ポリポリと頭を掻いて笑う清十郎に勝己は鼻でハンっと笑いながら
「どーせ しょーもねー個性なんだろーが」
「爆豪くんっ!その言い方はいかがなものかと…「ははっ!言うねぇ、確かに正論だけど」
勝己の言葉に声を荒げる飯田の言葉を遮って清十郎は面白そうに笑った
「…それじゃあ ご覧あれ〜」
そう言うと自分の前髪を徐ろに掻き上げた