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僕の花〜ヒロアカ〜

第36章 見つめていたい



一方その頃某居酒屋ではカウンターに2人並んで座っている人物がいた

「ぷはーっ!やっぱり日本酒は熱燗に限るなー」

「…お前ザルだからって飲み過ぎるなよ 体に悪い」

「何何〜相澤っちってば冷たそうな顔して相変わらず優しいよな」

お猪口を持たない腕で清十郎はうりうりと相澤を突くと それをうっとおしそうに手で払いながらお猪口に入っていた酒を飲み干した

「俺は酔っぱらいと会話する時間はないんでな」

冷たく言い放つ相澤にいつもの事だと言わんばかりに清十郎は笑った

「まぁ、そんな事言わずに付き合ってよ 今日はいい事があったんだから」

お猪口の中の酒の残りをくるくると揺らしながら清十郎はそれを見つめながら楽しそうに呟いた

「いい事ってあれか、如月に会えたことか?お前本当に偶然なんだよな」

疑いの目で見てくる視線に大袈裟に首を振った

「ん〜それもあるけどまた別でね それより〜まさか相澤っちは俺が華がいるから引き受けたと思ってる?」

「…お前ならやりかねん…」

「酷いな〜いくら俺でも公私混同はしないよ」

そう軽く口にする清十郎の姿に相澤は疑いの眼差しを向けた

さすがにそんな事はしないだろうと思っている、だがあの常識を外れてくるのがこの男の底知れぬ所だ

「そんな目で見ないでよ、彼女が雄英に行ったのを知ったのは本当。だけど再会したのは偶然」

くるくると回していた酒の残りを煽ると手酌で自分のお猪口に酒を注ぎ足した

「偶然にしては随分と執着してたな」

「そりゃあ、一緒に学んで来たからね 気にはするさ」

清十郎のその言葉の声色にそれだけじゃない色が含まれていたような気がしたが、敢えて聞かないようにした

「まぁ…本当の所は会わない方が彼女の為だったんだよ」

「あんだけキャッキャ騒いでいてたのにか?もう遅いだろ」

急にトーンが下がった清十郎を見て、「それはそうなんだけど」と言いながらもいきなり沈みだす姿にあきれたように呟いた

「そもそも、なんで会わない方が良かったんだ?」

心底わからないと言うような顔をする相澤に対して清十郎は複雑そうな顔をしていた

「ん〜簡単に言えば華の為?」

「言ってる意味がわからん」

首を傾げる様子の相澤に清十郎は困ったように薄く笑った


「相澤っちはフラッシュバックって知ってる?」
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