第35章 イレギュラー
清十郎は華を見つめてもう一度にっこりと笑うとゆっくりと出口のドアへと歩き出した
「さてと…そろそろ僕はお暇するよ、長々と居座るのは良くないからね」
歩きながらそう言う清十郎に華は慌てて追いかけた
「えっ!?そんな事ないよっもう少しお喋りしようよ」
咄嗟に服の裾を掴んで見上げる姿はまさに可愛いという名の暴力だ彼女のそんなお願いを断れる強者なんているのだろうかと周りは思う程だ
「う〜ん、ごめんね これから相澤先生と飲みに行くんだ またゆっくりと2人で話そう」
やんわりと断ったのに次は2人でと強調するかのように言うと華には見えないようにニヤリと笑った
その姿に策士だっ!と誰もが思ったが口に出せる者はいないと思った
「帰れ帰れっ!授業以外で関わってくんじゃねーよ」
シッシッと手を追い払う様な仕草をさせながら勝己が嫌そうな顔を露わにしていた
「ちょっ…!なんて事言うのよ勝己!失礼じゃない」
勝己の態度に怒ったように振り向く華の肩をポンっと叩いたら
「ははっ嫌われちゃったかな まぁ、年頃の男の子は感情豊だから」
わざとらしく肩をすくめた様な仕草をすると八百万に「お茶ご馳走さま」と片手を上げて一声掛けるとそのままその場を後にした
清十郎が去った後を見つめていた華はくるっと向きを変えると勝己に食ってかかった
「どうしてさも早く出ていけみたいな事言うのよ」
「あぁ?部外者だろうがっそんな奴が居座り続けんなってだけだろ」
ふんっと鼻で笑いながらも勝己はそっぽを向いた
「何言ってんのよ、清十郎さんに体術教えてもらうんだから部外者なわけないじゃない」
「馬鹿かオメーは 授業以外では部外者だ部外者っ!」
「どんな屁理屈よっ!」
華の言葉を聞こえないかの様にそのまま部屋のある方へ消えていこうとする勝己を指差しながら
「何なのっ!?一体!」
と怒り出す華を宥めようと蛙吹が肩を優しく叩いた
「まぁまぁ華ちゃん 爆豪ちゃんも予想外の所からライバルが現れて焦ってるのよ」
蛙吹の言葉に周りにいた切島達もウンウンと頷いている