第35章 イレギュラー
「おっ!君 ヤル気だね え〜っと…」
「轟焦凍だ」
「いいよ〜今から実演しようか〜」
「おい 今日は顔見せだけっつただろーが」
相澤の言葉に清十郎は人差し指指を立てて横に振ると
「まぁまぁ、こういうのは言葉よりも体で覚えなきゃ ね?」
そう押し切られると相澤は深いため息をついた
「お前ら、着替えて演習場に来い」
「いや〜久々に若い子達と体動かせるなんて楽しみだなぁ」
ブンブンと肩を回しながらストレッチをする様子に少しざわつきながらも1-Aの生徒が集まった
「あ…あの 柳さん、その格好でよろしいのでしょうか?」
オズオズと手を挙げて問いかける八百万に清十郎は自分の格好を見回した
「えっ?これ駄目?」
清十郎は本当に普段着のまま、黒のV字のシャツにGパンというごくごく一般的な格好だ
「やっぱりあれ?何か道着とか着ないと雰囲気出ないかな でも俺、道場以外で着たくないんだよね〜」
「いえ…そう言う意味じゃなくてですね…」
「百々ちゃんは柳さんの服が汚れないか心配してるのよ」
補足するように蛙吹が言うとにこにこと笑った
「ありがとう でもご心配なく、俺は汚れないから」
「大した自信だな ぜってー膝つかせたる」
清十郎の言葉に勝己は声を荒げた
「そういう闘志 嫌いじゃないよ」
嬉しそうに清十郎は言いながら一瞬考えたように目線を上に上げると今思いつきましたというように提案を口にした
「そうだ 時間が惜しいからいっぺんにかかってきてもいいよ」
「「「「いっぺんに!?」」」」
「あのっ!それではあまりにも力の差があるのではっ」
ビシっと規則正しく挙手をした飯田にケラケラと笑った
「え〜それって俺が弱いって言いたいの?」
「そ…その様な意味ではっしかしあまりにも不利なのでは…」
清十郎の言葉に焦ったように弁解する様子に清十郎は特に気分を害したような素振りは見せなかった
「不利かぁ〜じゃあこうしようか 俺はこれから一切個性を使わない だから君達も個性無しで掛かってくればいい ほら対等だろ?」
あまりにもあっけらかんに話すものだから思わず全員納得しそうになった
「いや…だから…」
飯田がそう言いかけたと同時に背後から飛び出した人物がいた
「要するにテメェをボコボコにすればいいんだろうっ!」