第35章 イレギュラー
「…一応言っておくが生徒にちょっかいかけるような事したら許さんからな」
ギロリと釘を指すように見遣るも当の本人、清十郎はあっけらかんとした態度だ
「やだな〜昔っから相澤っちは真面目なんだからっ」
「真面目じゃない、良識があると言ってくれ」
「だって考えてもみなよ 小さい頃から見てた蕾が少し会わなかっただけで可愛い花に変わってたら摘み取りたいと…」
ガンッ
そう力説する清十郎の言葉に被せる様に何かを蹴る音が響いた
「そんなくだらねー事言ってねーでその体術とやらを教えてくれよ」
「い…痛いよ かっちゃん」
「あ"ぁ"?たまたま当たっただけだわ」
背中をさすりながら涙目になって訴える出久をギロリと睨むとすぐさま清十郎へと視線を向けた
「おい、バクゴー今から教えてもらうんだからその態度はヤベーって」
焦ったように言う切島に対しても同様に「煩ぇ!」と怒鳴った
「あぁっ!君はもしかして『カツキくん』?だね」
「あぁ"?何で知ってんだよ」
ポンっと手を打って清十郎は勝己を見た
「そして緑頭の君は『イズクくん』?かな?」
「へっ…!?は…はいっ!」
突然呼ばれた自分の名前にビクっとなりながら出久は勝己と清十郎を交互に見た
「やっぱり、昔聞いたことかあったんだヒーローを目指してる幼馴染がいるって」
清十郎の言葉にきっと華が自分達の事を話していたんだと理解した
「まぁ『乱暴者で口が悪い』とか『いつもビクビクしている』って特徴だけだったから当てずっぽうだったんだけどね〜」
何だろう妙にグサリと突き刺さるような言い方は…気のせいなのだろうか
そう思ってチラリと勝己を出久は見遣るとそこには青筋が立っている勝己が目に入った
「おい、いい加減にしろ お喋りに来たんじゃねーだろが」
グイっと首根っこを掴まれて一瞬、清十郎はグェっと叫んだが気を取り直して自分の服の裾を正した
「わかってますよーだ ちょっと場を和ませたかっただけだろ」
和ませるにしてももっと別のやり方は無かったのかと誰もが思ったし何よりも勝己の機嫌が最高に悪くなったようにしか見えなかった
「あの…それでいつから教えてくれるんだ」
すっと静かに手を挙げたのは轟であった