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僕の花〜ヒロアカ〜

第35章 イレギュラー



聞こえた言葉に一同ギョッとした

今のセリフは目の前の男が言ったのか

「折角華に会えるんだと思ってたのに拍子抜け〜」

ガバっと顔を上げて残念そうに頭を掻く姿は先程の好青年さは微塵も感じさせないくらいに軽い

「お前…いい加減その裏表どうにかしろよ、見てるこっちが戸惑う」

隣にいた相澤は見慣れてるというように小さくため息を付いた

「裏表とか言わないでくんない?適材適所と言ってほしいね」

はんっと鼻で笑うと戸惑いを隠せない表情の生徒を見回してにっこりと「ということでよろしく」と笑った

「あの…先日お会いした方と同一人物ですわよね?双子とか…」

おずおずと尋ねる八百万の言葉に清十郎は小さく首を振った

「まさか、前に会ったのも俺だし」

自分を指差して笑う男は先日助けてくれた紳士的な人物とはあまりにかけ離れていて頭の中がプチパニックだ

「じゃあ、普通科のクラスに行けば華に会える?」

ポンっと手を打つような仕草をして相澤をバッと見たがその視線を無視するように相澤は淡々と答えた

「無理だ、そもそも関係ないお前がいきなり行ったら騒ぎになるだろうが」

「え〜…マジかぁ…」

「あの…華ちゃんなら同じ寮なんで寮で待ってれば会えると…」

清十郎のあまりの落ち込みようにオズオズと麗日が告げると途端に顔が明るくなった

「ホントに?じゃあ寮にお邪魔しよう〜っと」

ルンルンとはしゃぐ清十郎に相澤は深い溜め息を付いた

「そんなに如月に会いたかったのか?そもそも顔見知りだったのか」

「小さい頃から俺の親父の道場に通ってたんだよ 昔っから可愛くてさ〜」

「あぁ、だからか」

ふと相澤はあの日に見た綺麗な背負い投げの光景を思い出す 無駄もなく隙のない動きに納得した

この男、柳清十郎の家は代々続く道場の家柄だ

その実力はトップクラスと言ってもいいくらいに抜きん出ていた

その道場の息子 清十郎と昔、仕事に協力してもらった事をキッカケに親交が続いている相澤は海外に修行に行っていて清十郎が最近日本に戻ってきたと連絡を貰い、今回の件を依頼した

まさか如月の知り合いだとは全く知る由もなくの急な依頼に清十郎があっさりと承諾したのはこういうことなのかと今更ながら理解した







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