第35章 イレギュラー
それから数日が経っていつもと変わらない日常の筈だった
いつもの時間にいつものHR 変わらずに大人しく席に付く生徒を見回しながら相澤は口を開いた
「あ〜今日から体術強化を目的とした時間を設ける」
「「「「体術強化?」」」」
「いつかヒーローになった時に個性ばっかりに頼り切っていてそれ以外が疎かになっていたら致命的にもなりかねない そこでだ ある程度体術も身につけていた方が合理的だ」
「確かに…相澤先生の言う通り 体術などの対処法も身につけていたほうがいざ個性を使えない状況に陥ったときには有利となりますねっ」
ガタっと手を上げながら立ち上がる飯田を座れと言うようにチョイチョイと手で制しながら廊下にいるある人物を呼ぶ
「まぁ、そういうこった そこでだ今回から暫く特別講師を俺から頼んでやった しっかり教わって来るといい 入ってくれ」
相澤の声にゆっくりと扉を開けて入って来たのは数日前に芦戸達が出会ったタレ目の青年、清十郎であった
「あ〜っっ!タレ目イケメンっっ!」
芦戸が思わず声を上げて指を指すと清十郎はニッコリと笑った
「やぁ、また会ったね、雄英の生徒さんだったんだね偶然」
「なんだ?芦戸の知り合いか?」
芦戸の声に切島が首を傾げると横から蛙吹が声を出した
「いいえ、華ちゃんが通っていた道場の息子さんらしいわ、私達も偶然出会ったの」
「…華ちゃんの…」
ボソッと呟いて出久は清十郎を見た
小さい頃から華が道場に通っていて息子さんも一緒に練習してたのは話に聞いていた
まさかあんなに好青年そうな人物だとは予想外だった
「君達がいるって事は華ちゃんも同じクラス?」
キョロっと辺りを見回すように目線を向けるがその姿を確認できなくてチラリと相澤を見た
「あ?如月はヒーロー科じゃなくて普通科の生徒だぞ」
「えっ!じゃあここにはいないって事?」
「そういう事になるな」
しれっと答える相澤にショックを受けたのかガクッと頭が項垂れた
「な〜んだ、華いないのか、つまんねー」