第34章 意外な才能
蛙吹が見ていたのは華の後で目を見開いてガン見している峰田の姿だった
「あぁ、もしかして峰田くんの事?」
「クラスメイトを悪く言うのも何だけど華ちゃんは私達と違って慣れてないから危ないんじゃないかしら」
そう言う蛙吹の言葉に近くにいた数名の女の子達が頷く
「デクくん!早目に注意するように言った方がいいんちゃう?」
麗日がコソっと出久に耳打ちするも、出久はう〜んと考え込んで麗日に口を開いた
「きっと大丈夫だよ、だって華ちゃんは…」
ズドーンっ!
出久の声を遮るように大きな音が聞こえた
「きゃー!!ご…ごめんなさいっっ!」
音のした方を見ると華が床で伸びている峰田にアタフタとしていた
「えっ!?どうしたん!?」
事態の飲み込みが出来ない麗日が出久と峰田の惨事を交互に見ながら目を丸くしていた
「…スゲーあんな綺麗な背負い投げ出来るヤツそうそういねーよ」
ポツリと呟いた切島の声に麗日は「背負い投げ!?」と聞き返してしまった
「華ちゃん、後ろから飛びかかってきた峰田ちゃんを背負い投げして伸しちゃったのよ」
一部始終を見ていた蛙吹が麗日にそう言うと出久はポリポリと頬をかいて説明しだした
「えと…華ちゃん 昔からご両親のススメで道場に通ってたんだよね」
そう 華は個性が個性なだけに何かあった時に対処出来るように心配性な両親が有名な道場へと通わせていた
たまに暴走したりする時は煙玉で難を逃れるがあまり効かない時には武力行使で逃げ切る
お陰で今も鍛錬は欠かさない真面目さが幸じてそこらへんのヒーローよりきっと強いだろう
「華ちゃん、自分の個性があまり戦闘向きじゃないからって個性無しでも対応出来るような強さになっちゃって」
きっと今の華ちゃんなら守られるより守るほうが勝ってしまったような気がする
本当は僕が守っていたかったんだけどなぁなどといまだに伸びている峰田に凄く焦っている華を見ながら出久は僅かに苦笑を漏らした