第30章 旅立ち~相澤消太~
「だって普通、ヒーロー科の生徒の名前は覚えてても他の科の生徒の名前なんてそうそう出てこないんじゃないかしら」
梅雨の言う通り他のクラス ましてや別の科の生徒の名前なんてそうそう覚えてる訳もないし
消太の性格なら何かきっかけがないと覚える事すらしないだろう
あの時はそんな事すら考える間もなく感情のまま呼んでいたんだろうと今更ながら振り返る
そうじゃなきゃそんなボロを出すキッカケを作るわけがない
ただ安堵したのは その事に気がついたのが梅雨だということだった
「あー…その なんだ」
「大丈夫 私も緑谷ちゃんもきっと何も言わないから」
だって私達と華ちゃんはお友達ですもん
そう言ってにっこりと梅雨は笑うと来た道を歩き出した
その姿に消太は目を丸くするも見えない角度で少し笑った