第30章 旅立ち~相澤消太~
翌日、華は一人で空港の電光掲示板の前で自分が乗る飛行機の時間を確認していた
「華ちゃんっ!」
後ろから名前を呼ぶ声に振り返れば そこには見知った人物が立っていた
「出久くんっ!」
振り返った先には幼馴染みの出久が立っていた
「華ちゃん、今日出発って聞いたからお見送りに来たんだ」
「緑谷ちゃんが華ちゃんのお見送りに行くって聞いて私も是非にって思ったの」
そう言って ひょこっと出久の後ろから現れたのは梅雨だった
「わぁっ、梅雨ちゃんっ嬉しいっ」
言いながら駆け寄る華に梅雨は嬉しそうに手を合わせた
「それにしても華ちゃんがこんなに蛙吹さんと仲良くなったなんて知らなかったよ」
二人の様子にそう溢す出久に二人は見合わせて「女の子の友情よ」「ねーっ」
とクスクス笑った
梅雨とはあの日以来 ちょくちょく連絡や顔を合わせるくらいに仲良くなっていた
「でも、寂しくなるなぁ 華ちゃんが向こうに行っちゃうと」
少し寂しそうにポツリと俯いて呟く出久に華はそっと手を握った
「大丈夫、出久くん 私が向こうで卒業したら帰ってくるから」
あっという間だよ~とケラケラ笑う姿に出久はぐっと唇を噛み締めて華を見つめた
「華ちゃんっ!帰ってきたら僕のとこに帰って来てねっっ!」
ぎゅっと華の手を握りながら必死な様子で言う出久に首を傾げながら「勿論、帰ってくるよ?」キョトンとした顔で華は出久の言葉を返すが 意味が分かっていない様子の華に出久はブンブンと頭を振って
「そうじゃなくてっ…僕の為に帰って来て欲しいんだっ!だって僕は…」
「緑谷ちゃん、それは言わない方が…」
顔を赤くして何を言おうか分かった梅雨はその言葉の続きを止めようと口を開きかけた時に後ろから聞き慣れた声が聞こえた