第30章 旅立ち~相澤消太~
「あの時は喉が潰れるかと思った」
「う"っ あの時は大変申し訳ございませんでした」
申し訳なさそうに顔を半分に隠す華に 全くだと言う顔を消太は向けた
「でも 結局一緒に寝たのはあの一度きりだったねぇ」
「あぁ、あれ以来 秋彦さんが俺が帰る前にお前を寝かせてたからなぁ」
思い出したかのように小さく笑う消太に華は納得のいかない様な表情を向けた
「じ…じゃあこれから沢山一緒に寝てねって言ったら沢山寝てくれる?」
ガバっと顔を上げて必死に聞いてくる華に愛しさが込み上げた
「お前がこっちに帰ってきたら一緒に大きいベット買いに行くか」
「え?え?消太くんそれってもしかして」
「沢山寝るんだろうだったらずっと同じベッドでいいだろ」
そう言うとぐいっと華の頭を胸に抱き寄せると
ポンポンと背中を叩いた
「うんっ!えへへ、楽しみだなぁ」
いきなり抱き寄せられて華は少し照れ臭そうに呟くと同じ様にぎゅうっと抱きついた
耳から聞こえる消太の鼓動の音が心地よくてそのまま華の瞼は段々と閉じかけていた
「ずっとこうしててやるから無理せず寝ろ」
そう言ってやると安心したようにすうっと目が閉じて寝息を立て始める華を見やると消太はもう1度ギュッと抱き締めると同じ様に目を閉じた