第29章 決意〜相澤消太〜
ガタッと急に立ち上がったパパに驚いたが、更に驚く事を言い放った
「言っとくけど僕は二人の仲は認めたけど不純異性交遊は認めてないんだからなっ!」
「「…は?」」
ビシッと指差してフフンと鼻を鳴らす様な顔をするパパに私と消太くんはポカンとした
いきなりのパパの発言に理解するのにお互いに数秒かかった
「あっ、白菜煮えた」
そんな空気を破るようにママがのほほんと菜箸で白菜を取り出すから はっと我に返った
「ちょっと!いきなりなに言い出すのパパっ!」
「こういうのはちゃんと言っておいた方がいいんだ!はっ!まさかもうっ…」
「秋彦さん…」
おおげさに口許を覆うパパの姿に消太くんはにやりと笑った
「余計な詮索は自分が傷付くだけですよ」
「う…うわぁぁぁ!華!今すぐパパ達と行こう!」
「ないないっ!何もないからっ 消太くんもわざとそんな事言わない!」
ツーンと聞こえてませんというように食べ出す消太くんに対して大騒ぎしてご飯どころじゃなくなったパパをなだめるのに苦労した
最終的にママが出てきて「秋彦さん、まさか消太さんがそんな人じゃないって分かってるでしょう?」と言うとピタリと一人騒いでいた体が止まった
「…分かってるさ、これくらい苛めてもいいだろう」
「でもあまりダメージは受けてないみたいよ?」
チラリと消太くんを同じようみれば、我関せず いつもの事ですとでも言うように締めのお茶を啜っていた
う~ん、こういう所は長年の付き合いというか消太くんらしいというか
その飄々とした姿に思わず私は吹き出してしまった
「ん?お前も茶がいるか?」
ん と差し出された急須に「いただきます」と言いながら湯呑みを持つと消太くんはあたたかいお茶を淹れてくれた
その様子を何故だかじーっと黙って見ていたパパはにこーっと笑った
「何?」「何ですか?」
同時にそう告げる私達にパパはうんうんと頷いた
「君達はこれから何があっても大丈夫」
そう言ってパパは今まで見たことのない優しい笑みを浮かべていた